仕事観Work AttitudeJournal
2022.03.28
Professional Developmentを考える
仕事観Work AttitudeJournal
「プロフェッショナルとは何か」という問いは、社会人になってから今日に至るまで、職場や同僚が変わっても、自分の中で大事にしてきた問いの1つです。医療は専門性が高く、医療技術や薬の開発は日進月歩の領域です。産業保健においても、事業環境や働き方、また個人の思想も、多様化と共に変化が加速化しています。
こういった外部環境が変わる中でも、自分の中での意思決定や考え方のプロセスがぶれないこと、判断の軸を意識的に形成することは重要だと考えています。社会は複雑になっていく一方で、誰も正解は持っていません。不確実性が高い中でも、専門職として意見を出さなければならない状況を何度も経験する中で痛感するのは、「今の自分は、何をどこまで考えることができているか」という点であり、時として大きな不安を感じることさえあります。
|研修医時代に教えてもらったこと
プロフェッショナルについて考えをまとめる時に、研修医時代のことを思い出しました。尊敬する指導医の診療を見学させてもらう度に、「こんなに素晴らしい医師がいて、知識や経験もない私のような人間が患者さんを担当していいのだろうか。私ではなく、指導医の先生だったら、患者さんたちはもっと幸せなんじゃないか」という、医師になったばかりであるにもかかわらず、当時の私は絶望的な考えを持っていました。
すっかり自信をなくした私を見て、指導医は「知識は絶えず学べばいい。これから経験を積む中で、もしかしたら判断を間違うこともあるかもしれない。ただ、その時にじっくりとカルテを見直して、どこで何を見過ごしたのか、どこで判断を間違ったのかを自分で振り返れるか、そして同じ間違いをしないことこそが大事だ」と教えてくれました。
その教えもあって、医師1年目から、自分が何をどう考えて診断に至り、そしてなぜこの治療計画を行うのかに対して、かなり意識的に取り組むようになっていたと思います。そして、予期せぬことに、この思考習慣はその後コンサルタントや産業保健職にキャリアチェンジしても、自分を支えてくれる柱の1つになっています。
|プロフェッショナルであるために
思考の振り返りとは別に、プロフェッショナルであり続けるためには単に経験を積むだけではなく、意図的な活動による補強が必要だと考えています。「意図的」としているのは、諸々の活動に費やす時間量だけではなく、何を意識しながらその時間を過ごしているのかという質的な部分を強調したいからです。そして私は、この意図的な活動をプロフェッショナル・ディヴェロップメントと呼んでいます。皆さんも仕事をする中で、単に知識が薄いところ、自分の軸がぶれるところ、自分が不安に感じるところ等、自分の中で「うまくいかない」「もやもや」という居心地の悪さを感じることがあるかと思います。こういったつまずきや違和感を自分の中での開発領域と捉え、補充強化するための行動を意図的に行うのです。
開発領域の特定ができれば、とにかく行動を重ねていくことが重要です。産業保健で言えば、一筋縄ではいかないケースに対して、他の考え方はないか、見落としていることはないか等を考える場面が多々あります。そういった時には、過去の関連する労働判例を確認する、先輩専門家に助言をもらう、周囲と議論し倫理的な問題を解消する、といったことを行います。困難なケースを「あれは難しかったね」と終わらすのではなく、もっとできることはあるのではないか、法的にはどんな問題が生じるか、倫理的にはどうか、等多面的に課題を明確化します。判例や具体的な知識に関してはネット検索もできますし、E-learningや研修も多くあり、やることが明確になれば、手を動かしていき、To Doリストのような感覚で穴を埋めていきます。
では、知識では補えない部分、例えば自分の中の不安といった感情的な部分に対してはどう対応していくか。方法は様々あると思いますが、私の場合はプロのコーチをつけることが効率性と効果性において最適な方法だと考えています。コーチングの中で、自分が抱いた違和感や不安といった事柄を言語化し、その背後に何があるのかを考えることで、自分をより客観的に見ることができ、同じような状況に遭遇しても感情のブレを少なくしたり、別の選択肢を考える余裕を持つことができてくるのです。
つい先日のコーチングで、「エキスパートである必要はない。プロフェッショナルであることが重要」という言葉をコーチから共有してもらいました。この意図するところは、常に正解を出すべきだという考えではなく、知らないことにオープンでいることや、自分の不完全さも受け入れる状態であれ、ということだと私は理解しています。
どの職業においても、プロフェッショナルの姿勢は重要だと私は考えています。これからも誠実に自分の役割を全うし、自分の中の開発領域の特定とその強化のための行動を続けていきたいと思います。・・・