メンタルヘルス不調に対応するために重要なこと

Occupational Health
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人は、強いストレスを感じたときに、時間と共に反応が変わると言われています。

ここでは、その反応の中でも「体のサイン」について見てみましょう。

産業医として社員の面談をしていると、意外にも多くの方が、ご自身の不調や体の変化に気づいていない、と思うことがあります。

また、実は上司や人事が社員の不調に気づいていても、どんな対応をしたら良いかわからず、何となくそのままになり、気づけば社員が休職してしまう、というケースも少なくありません。

 

「これまでと違う」に気づくこと

よく人事や社員の方々から、「メンタル不調になった時、どんなサインが出るのですか」と聞かれます。個人差はありますが、多いサインとしては、以下のようなことです。

勤怠が乱れはじめる(遅刻、欠勤、早退)

表情が暗い

口数が少なくなった

イライラした言動が増えてきた

ミスが増えてきた

納期に遅れることが増えてきた

上記以外でも、「今までと何か違うね」という点があれば、イエローサインかなと判断し話を聞いてみましょう。

この時、メール等の文言だけ、電話だけ、ではなく、顔が見える対面やカメラつきのオンラインツールを利用することをお勧めします。表情やしぐさは、メンタル不調を疑うときには非常に重要な要素となるからです。

これまでと違うことに気づくには、やはり普段のご本人を知っている、ということが大前提になります。

何もない時に、備えておく。これはメンタルヘルスにおいて、セルフケアでもラインケアでも重要なキーなのです。

 

面談で大事にしている3つのこと

では、実際に本人から話をきくときに、どんな言葉や対応が必要なのでしょうか。面談に臨む時、産業医として気をつけていることは主に3つあります。

①「無意識の決めつけ」に注意する                     
上司や人事からの相談で、「〇〇さんは、うつ病ではないでしょうか?」という、何かしらの病名が先行してしまい、その病名でご本人を見てしまうケースがあります。

実は、これは「無意識の決めつけ」が起きてしまうことに注意が必要です。病名、特にメンタルヘルスの場合、ネガティブなイメージを相手に持ってしまったり、逆に過剰に心配し距離を置いてしまったりという、言動への思わぬ影響が起きてしまいます。

また、メンタル不調の原因として「プライベートがうまくいってないんじゃないの?」「上司からパワハラでも受けてるんじゃないの?」というように、こちら側が相手の理由を決めてつけてしまっていることがあります。これも気をつけたい点です。

これは決して、〇〇が原因かもしれない、という仮説を持つべきではない、ということではありません。相手に対して真摯に対応するためには、相手が置かれている状況、相手が感じていること、をしっかりと理解する姿勢を持って対応することが最も重要です。

②業務への支障(=事例性)をご本人や周囲に確認する            
メンタルヘルス不調の社員の相談があった際、産業医は「事例性はありますか?」と確認します。

これは、仕事をしている中で、何かしらの支障をきたしているという「事実」の確認です。遅刻が多くなった、業務効率がおちた、ミスが増えたなど、その方の業務上の変化を意味します。

これに加えて、その方が所属している職場の平均的な行動様式からのズレも含まれることがあります。ズレというのは、たとえば、皆が一緒に議論をしている中で、「残業はしたくない」と言って突然帰る、というような、職場において「何となくある相場感」とは異なる特性が見られる時等を意味します。

これら続くと、プロジェクトが進まない、チームビルディングに影響を及ぼす、など業務への支障が考えられる場合には、事例性と捉えます。

この事例性の確認は、勤怠時間という客観的データ、周囲へのヒアリング等がベースになります。本人との面談前には、これらの情報を集めることで、抽象的な議論ではなく、具体的な事実に基づいて話を進めることができます。

③ご本人と自分が話す時間配分は7(自分):3(相手)を目安に               
時間配分は、実はとても重要です。最初の面談の目的は、「本人の話を聴くこと」になります。②の事例性をご本人に伝えた上で、その方がどのように受け止めているのか、また何か話したいことはないか、というフラットかつ真摯な姿勢を見せること。

ここで、②に対して、「早寝早起きはしているのか」「社会人としてこのままでいいのか」「一家の大黒柱がこんなんでどうする」など、上司が質問攻めにしたり、「こうあるべきだろう」という①の思い込みが先走ると、相手が自分の状況を話し出すことは難しくなるでしょう。

コミュニケーションにおいて、話すより聴くことの方がとても難しいと言われています。この「聴く」は、漢字の成り立ちから、耳と心を持って14回聴く、とも言われているように、とにかく相手を理解するための姿勢を意味します。ここで邪魔をするのが①です。①があると、どうしても注意や指導をしたくなります。初回の面談だからこそ、相手に十分話をしてもらい、状況を理解することに専念することが重要です。

 

いかがでしたでしょうか。メンタルヘルス不調者を前に、「精神疾患を勉強しないといけない」「医学的なことはわからない」と、意気込んだり敬遠したりするのではなく、職場における事例性の確認と、ご本人を理解しよう、という気持ちだけで、効果的な面談を実施することは可能です。ぜひご自身のスキルとして、ブラッシュアップしていってくださいね。

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情報社会のビジネスパーソンにとって、
疲労の蓄積を予防したり、
仕事への向き合い方をコントロールする等、
自らの心身に目を向けることは重要になってきています。
仕事のスキルやナレッジを磨くのと同様に、
自身のメンタルやフィジカルを整えていく。
安定したコンディションを維持するための知見を、
医学や心理学等をベースに紹介します。