2019年末から、中国を皮切りに世界中で新型コロナウィルスが拡大しています。
これまで多くの命が奪われ、人との触れ合いも減りました。このウィルスの到来によって私たち一人一人は大きな影響受け、ひいては文明社会全体が試されている、といっても過言ではありません。
もちろん、悪いことばかりではないと思います。
在宅勤務にシフトすることで、これまでより生産性が上がり、家族との会話が増えたという方や、子供の成長をより間近で見られる時間が増えたという方もいます。
収益を伸ばしている産業があったり、業務のIT化や働き方改革が一気に進んだりもしていることから、やはり「物事には必ず二面性がある」、ということを改めて気づかされます。
とはいえ、あらゆる変化にはストレスがつきものです。コロナ感染症から、ドミノ倒しのように生じた身の回りレベルから制度や法レベルにまで及んだ変化。
では、この大きな変化に伴うストレス下において、私たちの体内や思考にはどのような影響が見られるのでしょうか。
ストレス反応は時間と共に変わっていく
私たちの体内では、自分のコントロールが及ばない外からの強いストレスに対して、様々な反応を起こしています。
この反応は、時間を追うごとに変化していき、大きく3つのフェーズに区別されます(ハンス・セリエの「ストレス学説」)。

上図:櫻本真理氏Cotreeより
最初に経験する「警告反応期」では、突然のストレスに対して非常に強いショックを受け、血圧や体温の一時的な低下が起きます。
その後まもなく、体の中で「逃避・闘争反応=戦うか逃げるか反応」が起き、ここでアドレナリンの分泌が増え、強いストレスに立ち向かおうとします。
その後しばらくは「抵抗期」として、ストレス環境に負けないよう神経が高ぶる状態が続きます。
この段階で、ゆっくりでもストレス状況に適応する方もいれば、むしろさらに「しんどい」と感じてしまう方がいます。後者は、「疲憊期(ひはいき)」に入ったことを意味します。
「抵抗期」から「疲憊期」への時間軸は、抱えているストレス要因にもよりますし、個々の回復力や適応力にも左右されるため、個人差があります。
同じ状況でも、普段とあまり変わらない様子の人もいれば、ひどく疲れた顔をしている人もいます。
ここで注意したいのは、「自分は大丈夫だから、周りも大丈夫でしょ」と決めないことです。
個人の思考、家族構成、社会経済状況は、人それぞれです。その組み合わせで、時間と共にストレス反応が出てくるので、ご自身の状況と、周囲の状況を単純に比べることはできません。
だからこそ、今回のコロナ感染症以外でも、異動、失業、喪失などあらゆる変化において、「体調どう?」「最近、どんな感じ?」という、周囲への声かけは非常に重要なアクションなのです。
自分の状態に「気づく」ことの重要性
とは言え、自分がストレスにさらされている、それで体調不良が起きてしまっている、ということに「気づく」ことは容易ではありません。
なぜでしょうか。
まず、「自分だけは大丈夫」や、「まだ大丈夫なはず」と思い込んでいる方が意外に多いのです。また、慢性的にストレス下にいると、それが当たり前だと感じてしまい、外から自分を客観視しづらくなってしまうのです。
だからこそ、ご自身の状態=コンディションを常々チェックすることは、現代社会において身につけておきたい習慣の1つなのです。
「自分は今、ストレスを抱えているかもしれない」に気づくことは、ご自身で思っている以上に極めて重要なことなのです。
ぜひ定期的に自分の思考、身体、感情に意識を向けてみてください。
例えばマインドフルネスでは、「ボディスキャン」という、自分の体からのメッセージを受け取る瞑想法があります。文字通り、頭からつま先まで、スキャンをしていくものです。
不調を探しにいくぞ!と意気込むものではありません。ただ「今ここ」に集中することで、リラクゼーション効果や、過去や未来に分散した意識を取り戻すことができます。

マインドフルネスやアウェアネスは、欧米を中心にビジネスパーソンにとって重要なスキルと認識されつつあります。
特に、このコロナウィルスを通じて生じたドラスティックな変化や高ストレスの中では、自分自身に意識を向けるというトレーニングこそが必要になっていると言えるでしょう。
「たかがストレス、されどストレス」です。「一時的なこと」と割り切って、適切につき合っていくことで、それまでとは違ったライフスキルを身につける機会にもなります。ストレスを通じて、ぜひセルフケアを考えるきっかけにしてみてください。
